info 趣旨

マーモセットを用いて霊長類独特の脳機能のメカニズムを調べるに際してどのようなタスク(行動課題)を考えるべきか整理を試みた。齧歯類と比べて霊長類脳の最大の特徴はよく発達した前頭前野であるので、ここでは前頭前野機能に焦点した。機能マッピングを意識したので、前頭前野機能の主要な全ての側面を、なるべく少数のタスクでカバーすることを意図した。

この文書では、まず前頭前野の定義を確認するとともに、前頭前野機能の主な側面をリストし、次にそれぞれの機能側面を研究するためのタスクを 1 個ずつ挙げ、前頭前野機能を研究するにあたって考えるべき必要最低限のタスクセットの推薦を試みた。最後に前頭葉の前後軸に沿った階層性と外側/内側および背側/腹側の機能分化をまとめ、神経変性症・精神疾患・発達障害とタスクの関係を考察し、またタスク訓練の難しさに影響するいくつかのポイントをまとめた。

実験の目的(機能ブロックに伴う行動変化だけを調べるのか、それとも課題遂行中に神経細胞活動記録を行うのかなど)によって使うべきタスクは変わる。また、マーモセットの特性に合わせてタスクを変更する必要もある。これらの作業の参考として、それぞれの機能側面ごとに、これまで用いられてきたタスクをより網羅的に記述した付属文書を作成しリンクした。

本ウェブサイトは革新脳マーモセット脳機能データベース検討ワーキンググループのタスクセット検討小委員会(中江健、宮本健太郎、中村克樹、田中啓治)が中心になって作成し、同ワーキンググループの承認を得た。