category 前頭前野機能の要素

中心は Executive functions。Executive functions は多くの認知と行為に共通の管理(高次制御)機能のセット。Executive functions は「実行機能」または「遂行機能」と訳されることが多いが、感覚情報処理や運動制御の具体面を含まない管理機能であるので、実行全体と区別し「管理」や「高次制御」などの意味を持つ語を含んだ訳語を用いるべきである。ここでは「執行管理機能」を用いる。執行管理機能には3基本要素として、反応抑制、ワーキングメモリーの更新、タスクセットの切り替えがある。執行管理機能以外の前頭前野機能としては、それぞれある程度限られた状況で使われる機能として、意思決定、探索、反実仮想選択のモニター、動機づけ、上位注意制御、メタ認知、社会性、自動的予測、空間注意などがある。意思決定は動機づけと一部重複する。

総説


Executive functions(執行管理機能)の3基本要素

Miyake et al. (Cognitive Psychology 41:49, 2000)は、137 名の正常被験者の 9 個の比較的単純なタスク(下図の右側)と 5 個の複合的タスク(Wisconcin Card Sorting Test, Tower of Hanoi, Random number generation, Operation span task, Dual task)の成績のばらつきを因子分析法のひとつである CFA(confirmatory actor analysis)で解析した。その結果、執行管理機能はひとつの機能ではなく、反応抑制、ワーキングメモリーの更新、タスクセットのシフトの 3 個の基本要素を持ち、これらは互いにかなり独立であると主張した。これらが本当に独立であるか、また要素的であるかは別にして、この整理は執行管理機能として押さえるべきタスクの幅を考える際に有用である。

前頭前野機能の要素