widgets 10. 注意過程

ボトムアップ注意:フリービューイング

ボトムアップ注意:フリービューイング

静止画または動画を提示し、眼球運動を測定する。革新脳ヒト臨床研究小池 G の三浦らは、統合失調症患者で探索眼球運動が乏しいことを観察している(右、模式図)。 腹側注意ネットワーク(前頭眼野の腹側の 45 野を含む)を調べるために良い課題と思われる。 詳細は Morita, Miura, Fujimoto, Yamamori, Yasuda, Iwase, Kasai, Hashimoto (Psychiatry Clin Neurosci 71:104-114, 2017)を参照。

Chen, Matrov, Veale, Onoe, Yoshida, Miura, Isa (J Neurophysiol 125:437-457, 2021)はマーモセットの動画におけるフリービューイングとマカクおよびヒトのそれと比較して、おなじボトムアップ注意モデルで 3 動物種の注視点移動が説明できることを示した。

トップダウン注意:Posner Task

Posner..Rafal (Q J Exp Psychol 32:3, 1980)

Bowman..Robinson (J Neurophysiol 70:431, 1993)

トップダウン注意:Posner Task

標的に先駆けて提示される手掛かりが valid な場合と invalid な場合の反応時間の差を、ボトムアップ条件とトップダウン条件で比較する。被験者がレバーを押すと、注視点とその左右に標的提示用枠が提示。左右の枠のどちらかに標的が出る。標的提示後設定時間内にレバーを離したら報酬。標的提示の前に手掛かりを提示。手掛かりは、ボトムアップ条件では刺激枠に与えられ(手掛かりと標的の SOA は 200 ミリ秒程度)、トップダウン条件では注視点の傍に提示される矢印の向きで与えられる。多くは 80%で Valid、20%で Invalid。

Valid と Invalid の間の反応時間の差が測定変数。機能ブロックしたとき、ボトムアップ条件では Valid/Invalid の差が残るが、トップダウン条件で差がなくなる脳部位を、トップダウン注意に特異的に必要な脳部位として同定する。

マカクを使ったたくさんの論文があるが、その多くは、視覚野の神経細胞の標的への反応が手掛かりによってどう変わるかを調べただけで、動物の行動データがないし、トップダウン注意に特異的に必要な脳部位を決めたわけでもない。Bowman et al (1993)はマカクの行動データを詳細に検討した。

ヒトの脳損傷患者の Posner task での行動データに関する総説